インプラント1

午前中に仕事の区切りをつけ家へ向かう。駐輪場で自転車の鍵がポケットにないことに気づき、スーツの上着を間違えたことに気づく。取替えに会社へ戻る。家までの道中にカレーを買う。午後1時前に家へ着き、シャワーを浴びた。カレーを食べてから、書類の準備して午後2時10分ころに家を出た。

歯科へ着くとすぐに中へと案内された。歯ブラシをかけてもらってから、手術中に使う歯の固定具のようなものを試し付けされた。麻酔を歯茎に受ける。ほぼ歯根くらいしか残っていない歯を抜く。血の赤と虫歯の黒みがかった歯のかけら2つを目にした。手術の時間になり別の機台に案内される。このイスに寝たことはあるけれども、今から何が始まるのか想像できないでいた。事前にインプラントについて聞かされてはいたし、手術という名称からも普段の歯の治療とは違う特別なものだとは意識していた。ただ実際に経験してみるといろいろと新鮮な驚きがあった。徐々に準備がなされていく。まず、足元、足首の下に柔らかなクッションが置かれた。鼻には管が付けられ、リラックスできるような?気体が通された。鼻で吸ってみても香りは感じられなかった。部屋は涼しめに設定されている。胸に2箇所、左腹部に1箇所、心電図のセンサーが取り付けられた。手術中は口元以外が覆われて表情が見えず、医師と患者のアイコンタクトが取れないため、心電図をモニターするのだという。ここへ来て、なんとなく手術というものの手触りが感じられ、少し緊張した。手術らしいものを受けたことがないので、新鮮な驚きだった。人差し指にもクリップ上のセンサーが取り付けられた。血中の酸素濃度が分かるとのこと。全身がブルーシートのようなもので覆われる。口を大きく開け、その状態で口元のまわりにもシートが取り付けられる。左腕には血圧計が巻かれ、10分置きに作動するようになっていた。先生、衛生士さんたちが着替える音が聞こえる。しばらく静かな時間がながれる。いよいよインプラント手術が始まった。

痛みはないが、ガガガガという音が聞こえてくる。ときどき目を開けると薄明るいシートが視界に入るだけ。左腕と右手人差し指の感覚は確かにある。先生とまわりのスタッフのやりとりが聞こえる。手術自体は30分ほどで終わっただろうか。(血圧計が3~4回動いたように思う)。途中寝そうになり睡魔と闘っていた。寝てしまっても問題ないとは言われていたのだが。手術の最後のほうで痛みはないかと問われ、一瞬迷ったが、口をあけたままの聞き取りづらい声で、ちょっと痛いですと伝えた。糸で縫うときの歯の内側の歯茎に刺されるのが痛かったのだ。念の為に麻酔をしてくれた。

手術が終わり、シートがはがされる。視界がまぶしい。取り付けていた器具が一つずつ外される。しばらく談笑する。ゆっくりと起き上がりレントゲン撮影をする。最初に歯を抜いた診察台にすわりレントゲンでインプラントの位置を確認する。人工骨がインプラントの周りに開いた穴を埋めて、その上をシリコンシートで覆っていることが伝えられた。術後数日の諸注意を受けてから待合席へ。精算を済ませ、痛み止め、抗菌剤を受け取る。しばらくはかたいものや刺激物は口にしないようにとのこと。今日の夕食はウィダーウィンにしようかと考えていたら、まさにそれを1パック頂いた。

道草をして家へと戻る。