吉田松陰全集の現代語訳はじめました!

2015年9月に山口県を旅した。新幹線で新山口駅に降り、1日目は山口市内を観光して秋吉台で日暮れを迎えた。2日、3日、4日目は萩市内を走り回った。4日目の夕方に萩を出て、山陰本線長門を通り、夜のうちに下関に到着した。5日目は下関を少し見てまわってからお昼くらいには帰路に着いた。

1日目、山口駅周辺を散策した。ランニングシューズを履いていたので、藩庁門や瑠璃光寺まで軽快に歩いて行った。途中、道草などもした後バスを調べて秋吉台へ。鍾乳洞におそらく初めて入った。薄暮にゆったりしていて、萩に向かうつもりでいたが、終バスを確認し忘れ、結局新山口駅に戻る便にぎり乗った。

2日目、朝、スーパーはぎ号(高速バス)に乗り込んで萩へ向かった。萩往還から萩バイパスにさしかかったところで、見えてきた指月山が体感的にはかなり近く迫ってきて、城下町のイメージがぐっと湧いた。明倫小学校の前にあった花燃ゆ関係のところでレンタルサイクルを借りた。

レンタル係をしていた地元の方々が良い感じで、貸出のやりとりをしている間も笑いが起きていた。まさか自分でも三日間も滞在するとは思っていなかったが、いろいろな所を巡っているうちにすっかりこの街に親しみを感じてしまった。橋本川と松本川に囲まれたこの地が肌感覚として入ってきた。

3日間萩の街を駆け巡った。萩初日の夕暮れ、松下村塾で1匹の猫に会った。普段通りのような感じで、部屋にあがりこんでいた。日が沈み雨の維新ロードを走った。萩2日目、小雨がぱらつく曇り空だった。玉江橋を渡る。気の向くままに周遊した。菊ヶ浜で海風を受けた。恵比須ヶ鼻造船所跡で日没を迎えた。

萩3日目の朝、笠山へ向かった。ぽつぽつと人がいて、猫や蝶がいるほかは静けさが広がっていた。ちょうど展望台に上ったときは自分一人で、1時間程その場にいて羽島や萩市街を眺めていた。巡ったあの地この地を遠くから再び望むことができて、今思えば萩を離れる区切りになった気がする。自転車を返す。

萩から長門へ、そして下関へ。5日目の早朝、長府の毛利庭園を訪れた。早すぎて門は開いていなかったが、街の雰囲気を味わった。そのときの晴れた空に広がる雲がいい感じだった。海沿いをバスで走り下関駅へ。火の山公園は通過しただけなのでまたいつか訪れてみたいと思った。

萩を旅する数ヶ月前には、古川薫『松下村塾』、奈良本辰也吉田松陰著作選』を読んでいた。実際に萩を巡ってみて、よい街だなと体感した。なんとなく書と感覚がつながり始めた。『吉田松陰全集』は何度か見たことがあり、萩図書館でも眺めたはず。そういえば図書館きれいだった。

あの旅から2年半経つけれども、ふとした折りに『吉田松陰全集』を買おうか悩んだり、デジタルアーカイブのページをめくったりした。現代語訳を読みたい、あるいは翻訳したいという思いもぽつぽつ抱いていた。しだいに日々のことに埋もれ、片隅にはあったが思い出すことが少なくなった。

 

2018年3月1日、国立国会図書館のデジタルコレクションを久しぶりに見ている時に、自分なりに読んでみようと思って、調べて訳し始めていた。やり始めたら面白いもので、文章が分かる箇所もあれば、漢字が読めない、意味が理解できない部分もあり、その緩急の感覚が新鮮だった。

というわけで『吉田松陰全集』の現代語訳を始めました!かなり我流でペースも遅いですが、少しずつ積み重ねていけたらと思います。漢字や意味の間違いなどご指摘いただけたら幸いです。

吉田松陰全集 第1巻 (岩波書店, 1940)