夢の記憶 6

朝起きてすぐ未だ微睡の中にある時に、かろうじて携帯に書き残した夢についてのメモが残っている。ここ最近見た夢だというのは確かだが、いつ見たのかはもはや分からない。

そのメモを元に夢を思い起こそうとしたけれど、

「いえのまえにふたりがいる」

「すうがくのもんだいをときながらかいだんをおりる」

というメモを見てもさっぱり何のことだか分からない。上の二つの他にもいくつかのキーワードや、言葉にならない誤字脱字ばかりのメモが散在しているのだけど、これらもどうにも記憶に結びつかない。

その中で何とか断片的に思い出せそうなメモがあった。

「エレベータまちがったかいをおす」

「よこにながいぼう まっちょたちがたくさんいてひっぱる」

ここから書き始めてみるけれど、すぐに終わると思う。

デパートの立体駐車場から店内のエレベータへとつながる場所にいたように思ったけれど、これは以前見た夢の記憶からきているのかもしれない。エレベータの扉が開くと中には初老の女性が一人いて、乗り込むものは自分以外にはいなかった。行き先ボタンの前に立って、目的の階を押そうとして(何階かは思い出せない)、元々乗っていた女性が押していた階をダブルクリックでキャンセルしてしまった。この前後が曖昧な記憶に包まれていて、エレベータ内にいたはずの女性のリアクションがどうだったか、自分がいつ降りたのか、先に降りてしまったのか思い出せない。

上の駐車場と関連しているのか分からないが、体育館のように広い場所にいた。20メートルかそれ以上の長い棒が、人の頭よりも高い所で地面と水平に伸びていて、何人かの筋骨隆々とした人たちが間隔をあけてその棒に沿って並んでいた。おもむろに、両手で棒をつかむと、懸垂のような動作を全員が一斉に始めた。よく見ると、棒は何かに固定されているわけではなく、かなり上下に揺れているようだった。なんとなくフイゴのような気がしたが、その棒がどこにつながっているかを確認できたわけではなく、ただその繰り返される上下動を眺めていた。