地上と乗客のインターフェースとしての窓ガラス

月曜から火曜にかけて、九州のほうへ出張に出かけていた。飛行機に乗るのがおよそ1年ぶりで、行き帰りの機上からの眺めが印象的だった。朝方に出発し、帰りは夜だったので、ゆっくりと明らんでいく様子と地上に映える夜景の両方を見ることができた。

行きの時は雲がほとんどなく、高度が上がる間ずっと地上の様子がはっきりと見えて、ミニカーのように流れていく車群を追っていた。途中、あれは浜名湖かな、というのがあったりしたが、はっきりと地図上の位置が思い浮かんだわけではなかった。その点、前の座席背の背にあるモニターで現在地が把握できるのは素晴らしいが、欲を言えばタッチスクリーンで縮尺や場所など、地図を動かせるとうれしかった。

帰りはところどころ雲に隠れていたけれども、雲の合間からのぞく数々の光の点がきれいだった。それによって、おそらく大阪から岐阜にかけての紀伊半島の一部が見えてきた時、その暗闇の深さに逆に圧倒された。伊勢や熊野のあたりは一度訪れてみたい。

機内で妄想したことがあった。窓越しに外を見ている間、ガラス上に現在の風景とリンクするようにして、地図やその他の映像を見ることができたらと思ったのだ。透明なタッチパネルは既に開発されているし、技術的には可能だろう。様々な課題はあるかもしれないが、もし実現すれば、地球儀を指で追ったり、Google Earthを眺めるのとも異なる、「地理を把握する」ことについて新しい体験がもたらされる気がしている。